鱗、七色

僕は何かを習慣づけることが苦手です。

世間から完全に隔絶していた一時期には、酷い時は5日間お風呂に入らなかったし、歯を磨くこともしなかった。そういう、幼いときから当たり前に習慣づけられたものさえ、僕からは簡単に抜け落ちてしまう。

人間を人間たらしめているのは習慣だと思っています。さしずめ、僕は僕自身を人間だとは思えません。獣の類、といったところでしょうか。習慣というそれは、獣の類である僕からみますと、七色に輝く鱗のように思えます。その七色は変幻自在な可塑性を象徴しているのでしょう。生き抜く為に何より必要なそれを持っているのだと、その輝きで一目で分かってしまう。僕が他人に対して抱いてしまう畏怖の感覚は、あながち間違いではないのかもしれません。